「体内リズムを整えよう」
体のリズムを刻む体内時計は、“24時間よりも長めの25時間である”と話題になったりします。実際のところはどうでしょう?私たちに備わっている体内時計の正しい知識と、そのリズムを整えるポイントを知って、日々のパフォーマンスアップに役立てましょう!
体内時計とは、概日リズムとも呼ばれ、自律神経の調整やホルモンの分泌、臓器の動きなど、生命と健康の維持にかかわる活動の、1日周期のリズムを作り出すシステムのことです。
そしてこのリズムを刻んでいるのが、細胞内にある「時計遺伝子」です。時計遺伝子は、時計機能を担うタンパク質を作りだすことで、日々のリズムを刻んでいます。このリズムが、地球1日の24時間周期より少し長めなのです。25時間周期だと言われる時もありましたが、厳密に測定した実験によると、体内時計は約24.2時間だと明らかになったそうです。
個人差もあり、体内時計の周期は人によって多少異なりますが、いずれにしても毎日の24時間からズレた体内時計は、日々リセットする必要があります。リセットの役割を担っているのが、『光』です。太陽光に匹敵する強さの光を浴びると、その情報が体内時計に伝わり、光を浴びた時刻によって体内時計のリズムが変化します。
ポイント
朝早い時間に強い光を浴びると、夜眠くなるのが早まります。逆に夜遅い時間に強い光を浴びると、体内時計が日中だと誤解をして眠くなるのも遅くなります。
注意ポイント
深夜に明るい環境で過ごすことや、不規則な生活習慣は体内時計の乱れの原因になります。こういった生活を続けていると、昼間に活動して夜に休息するという人間本来のリズムが崩れ、時差ぼけ状態になってしまい、「夜に眠れない。」、「朝起きられない。」などの睡眠トラブルにより、日中のパフォーマンス低下に繋がります。
こういったことからも、毎日同じ時間に朝日を浴びて、体内時計をリセットして整えることがとても大切なことが分かります。
「朝の時間の過ごし方」
1日を快適・快調にスタートさせ、パフォーマンスを上げるためには、体内時計をリセットする「朝の時間の過ごし方」が重要です。
ポイント
なるべく毎朝同じ決まった時間に起きて朝日を浴びること。窓辺やベランダに出て、朝のフレッシュな光を浴びながらストレッチや深呼吸を10回程度すると、体内に酸素がしっかりと入り細胞に行き渡り、頭がしっかりとクリアになるでしょう。
そして、1日3食の規則正しい食事も大事です。決まった時間に3度の食事を摂ることで内臓が動き出し、体内時計のリズムが整います。
注意ポイント
朝食を抜いてしまう方も多いようですが、体を目覚めさせ、午前中のエネルギーにもなる朝食は重要です。特に、午前中に脳の働きを鈍らせないためには、朝食で炭水化物の摂取がとても大事です。忙しくても、朝食は食べるようにしましょう!
「寝起きがスッキリしない。」、「なかなか活動モードにならない。」などという時は、起床後に熱めのシャワーを浴びるのもオススメです。水温の高い熱めのシャワーを浴びると、交感神経が刺激されて瞬時に活動モードに切り替えられ、1日のリズムを作りやすくなります。
ちなみに…、「たまった疲れを解消しよう。」と休日に寝溜めするのはNGです!普段よりも2時間以上遅く起きると、体内時計のリズムが乱れてしまいます。また、睡眠不足やだるさが、週の半ばまで続いてしまうことも。疲れを取りたい場合も、やはり体内時計のリズムを意識した朝の時間を大切に過ごすことがポイントです。
体内時計リズムを整える朝の時間の過ごし方
- 毎朝できるだけ同じ時間に起床して朝日を浴びる
- 朝食をしっかりと食べる
- 起床後に熱めのシャワーを浴びる
「質の良い睡眠」
体内時計を正常に保つには、質の良い睡眠も重要です。私たちは、規則正しい生活をすることで健康を保つことができます。昼夜問わず明るい環境にさらされたり、バラバラな生活リズムになったりすると、体内時計をスムーズに刻みにくくなってしまいます。
夜の時間帯には、「メラトニン」というホルモンが分泌されます。このメラトニンは、自然な眠気を誘う作用があり睡眠ホルモンとも呼ばれています。メラトニンの分泌は、主に光によって調整されており、目覚めてから約14〜16時間後に体内時計からの指令でメラトニンは分泌されるようになっています。しかし、夜間に強い照明の中やブルーライトの影響下にいると、体内時計が乱れてメラトニンに分泌が抑えられ眠気が無くなってしまいます。睡眠・覚醒リズムが乱れてしまうのです。
ポイント
規則正しく、質の良い睡眠をとることは、心身の健康のために何よりも重要です。質の良い睡眠をとるためのポイントは、日中には活動モードの交感神経を優位にして、夜は休憩モードの副交感神経を優位にする、という2つの自律神経の切り替えがスムーズに出来るようにすることです。
夜間は副交感神経が優位になるように、なるべく照明を暗くしリラックスして過ごすことがオススメです。他にも就寝までの過ごし方として、夕食は3〜4時間前までに済ませ寝る時の内臓の活動を穏やかにしておく、入浴は1〜2時間までに入り交感神経が高くなり過ぎないようにするなど、夜間の過ごし方を見直して睡眠の質を上げていきましょう。
睡眠の質を上げる夜の過ごし方
睡眠の質を上げる夜の過ごし方
- 夕食は就寝3〜4時間前まで
- カフェインを控える
- お風呂は就寝1〜2時間前までに
- 就寝1時間前には、部屋の明かりを暗くする
- 起床7時間前までに就寝
夕食は就寝3〜4時間前までに
寝る時に胃腸が活発に動いていると眠りが浅くなる傾向があります。どうしても就寝3〜4時間前までに食べられない場合は、うどんやお茶漬けなどの消化が良いものにしましょう。
カフェインを控える
就寝4時間前以降は、コーヒー・紅茶・緑茶・烏龍茶・栄養ドリンクなど、覚醒作用のあるカフェインの摂取は控えた方が良いでしょう。ホットミルクやカモミール入りのハーブティーなど、リラックスできる飲み物がオススメです。また、たばこに含まれるニコチンにも覚醒作用があり、その作用は数時間持続すると言われているため、寝る前の喫煙も不眠の原因になるためオススメ出来ません。
お風呂は就寝1〜2時間前までに
寝る直前に熱い湯に入浴すると、体が火照って寝付きにくくなります。また、熱い湯は交感神経を刺激し、活動モードにしてしまいます。入浴する際は、40度前後のぬるめの湯にゆっくりと浸かると、自然な眠りを誘いやすくなるそうです。
就寝1時間前には、部屋の明かりを暗くする
明るい部屋にいると、体が「まだ昼間だ」と誤解してしまうため、部屋の明かりを落として「寝る時間だ」というサインを出してあげましょう。テレビやパソコン、スマートフォンから発せられるブルーライトも同様の理由からNGです。メラトニンの分泌を促すために、それらの使用は就寝の1時間前までにしておきましょう。
起床7時間前までに就寝
自律神経のバランスを整え、疲れをしっかりと取るためにも、少なくとも7時間は睡眠を取りたいです。日々の睡眠時間をきちんと確保出来ていれば、スッキリと目覚めることが出来るでしょう。
まとめ
まとめ
◎体内時計は24.2時間
◎ズレた体内時計は日々リセットする必要がある
◎不規則な生活は体内時計のズレる原因
◎毎日決まった時間に起きて朝日を浴びる
◎朝食での炭水化物の摂取
◎休日の寝だめはNG!
◎ブルーライトに気を付ける
◎夕食は就寝3~4時間前までに
◎40度前後のぬるま湯に浸かる
私たちが生きる現代社会では、体内時計が乱れやすく、夜にぐっすりと眠り、朝にしっかりと目覚めることが難しくなっています。しかし、朝と夜の過ごし方を少し大事にしてみると、翌日がスッキリと快適になるかもしれません。毎日を快調に過ごすために、ご自身の体内時計をコントロールしてみましょう。健康維持に繋がるだけじゃなく、生活パフォーマンスが向上し健やかな日々を過ごせることでしょう。