新陳代謝と基礎代謝、美容や運動、ダイエットについて調べているとよく目にする言葉です。でも、その違いをご存知でしょうか?似たような名前ですが全然違うのです。
今回はこの2つについて説明していきましょう。
「そもそも代謝とは…」
どちらにも代謝とついていますが、そもそも代謝ってなんでしょうか。
代謝(英:metabolism)とは、生命維持のために外から取り入れた無機物や有機化合物を素材として行う、一連の合成や化学反応のことです。
大きく分けて“異化”と“同化”の2つに分類されます。
異化とは、物質を分解することでエネルギーを得る過程であり、例えば血液と細胞のガス交換の細胞呼吸があります。
同化とは、エネルギーを使って物質を合成する過程であり、例えばタンパク質、脂質、多糖の合成があります。
代謝の働きとしては、以下の4つです。
代謝
- エネルギーの獲得
- 摂取した栄養素を分解し、細胞構成しやすい小さな物質へ転換する
- 小さな物質から成分の合成をする
- 細胞が使うビタミンやホルモンなど、生理活性物質を合成または分解する
「新陳代謝」
新陳代謝とは、細胞1つ1つが古いものから新しいものに、次々と入れ替わることを言います。“細胞の新陳代謝”などと言われたりもします。
「新陳代謝を活性化させよう」などとよく目にしたり、耳にしますね。
人の全身の細胞の数は37兆個とも、60兆個とも言われています。果てしない数で、形も大きさもさまざまな細胞をすべて数えるのは難しいですね。まだ曖昧な部分ではありますが、どちらにしても私たちは37兆個、60兆個もの細胞を保有しており、日々新しい細胞に生まれ変わらせています。
細胞の新陳代謝は部位によって生まれ変わる周期が違います。
周期
- 胃腸などの細胞は約5日周期
- 心臓の細胞は約22日周期
- 肌の細胞は約28日周期
- 筋肉や肝臓などの細胞は約2ヶ月周期
- 骨の細胞は約3ヶ月周期
“肌のターンオーバー”という言葉をご存知の方が多いかもしれません。これはお肌の表皮組織の新陳代謝のことです。
注意ポイント
上記の新陳代謝の周期は正常な場合の日数です。ストレスや加齢、生活習慣などの影響により新陳代謝の周期は簡単に早くなったり、遅くなってしまいます。
例えば年齢別で肌の細胞の新陳代謝、
年齢別
- 10代 約20日
- 20代 約28日
- 30代 約40日
- 40代 約55日
- 50代 約75日
- 60代 約90日
と、言われています。新陳代謝を促すのは成長ホルモンです。年齢を重ねると成長ホルモンの分泌量が減りますので、新陳代謝の周期も遅くなります。
体質改善
細胞の新陳代謝が正常であれば、身体は約3ヶ月で新しく生まれ変わります。ですので、私は体質改善をしたいなら、最低でも3ヶ月後を見据えて続けてほしいとよく伝えています。運動にしても、食事にしても、今の身体の状態は3ヶ月前の生活習慣から作られています。だから、体質改善を始めたなら、なんでも最低3ヶ月はその習慣を続けてください。
「基礎代謝」
基礎代謝とは、心身ともに安静な状態な時に生命維持のために消費される必要最低限のエネルギー代謝量のことです。
つまり、活動をせずにじっとしていても消費されるエネルギーのことで、一般成人の場合女性が約1200キロカロリー、男性が1500キロカロリーと言われています。一般的に基礎代謝量は男性の方が高く、女性の方が低いです。これは男女の筋肉量の差だと言われています。また、加齢とともに徐々に基礎代謝量は下がっていきます。
何で消費されているかというと、生命維持のために心臓と脳が動いていますね。私たちの知らないところで、胃や腸、肝臓、腎臓といった内臓が働いてくれていますね。そして私たちは体温を維持し、絶え間なく呼吸を続けています。こういった無意識のうちに行われている活動の中で消費されているエネルギーが基礎代謝です。
注意ポイント
基礎代謝が低下すると肥満につながると考えられがちですが、他にも悪影響が多くあります。基礎代謝が低下することは、生命維持のためのエネルギー量が減るということです。つまり、内臓機能が低下してしまい、冷え性・低血圧・低体温・疲れやすい・生理不順・便秘などといった症状につながります。
ダイエットしなきゃ!と考えたときによく「基礎代謝をあげよう」と目にしたり耳にしたりしますね。これは、私たちが1日に消費するエネルギーのうち約70%を基礎代謝が占めているからです。特に運動をしなくても多くのカロリーを消費するので、肥満を防ぐには基礎代謝を高めることは重要です。
基礎代謝が高い → 1日に消費するカロリーが多い
基礎代謝が高い身体 → 太りにくい身体
基礎代謝と筋肉量
肥満のきっかけとしてよく見受けられるのが、運動不足などによる筋肉量の減少です。筋肉は身体を動かす・支えると同時に、体温を作り出す大事な働きをしており、基礎代謝の中でも一番多くのエネルギーを必要としています。
例えば、寒い時に凍えて震えたりしますね。これは震えることによって、筋肉を細かく動かすことによって体温を作り出し、寒さをしのごうとしているのです。
筋肉量が減ると、基礎代謝が落ちるだけでなく体温維持が出来なくなるため、身体の熱を逃がさないように筋肉が減った部分を脂肪で埋めようとします。これがどんどん進んでいくと肥満になってしまいます。
基礎代謝を上げるには
基礎代謝を上げるには、筋肉量を増やすことで可能です。適度な運動をして筋肉量を増やし、適切な食生活を送ることで基礎代謝を上げることができます。しかし、数日運動したからと言って簡単には上がりません。筋肉も落ちるのは早くても、筋肉量を増やすには多くの日数がかかります。
ポイント
基礎代謝を上げることは、太りにくく痩せやすい身体に変えることです。つまり体質改善の1つですから、まずは3ヶ月を目安に頑張ってみましょう。
基礎代謝を上げるオススメの方法
◆運動、筋トレ
ポイント
基礎代謝を上げるための早道は筋肉量を増やすことです。そして、運動をして筋肉を長い時間動かし続けることも大事です。
運動には有酸素運動と無酸素運動の2種類があります。有酸素運動はウォーキングやサイクリング、水泳などの長時間できる運動のことです。20分以上続けることで脂肪燃焼が効果的に起こると言われています。無酸素運動は筋力トレーニングや短距離走など、短時間で強い力を発揮する運動のことです。決して呼吸をしないという意味ではなく、筋肉を収縮させるエネルギーを、酸素を使わずに作り出すことから無酸素運動と言われています。
ポイント
筋肉量が少ない方は、まず筋トレで筋肉量を増やすことを目指してみましょう。
筋トレを行う際に気を付けるポイントは、
筋トレのポイント
- 無理のない範囲で行うこと
- 身体をゆっくり動かすこと
- お尻や太ももなど、下半身の大きな筋肉を鍛えていくこと
- 毎日同じ筋肉をトレーニングしないこと
- 慣れてきたら少しずつ負荷をかけていくこと
全身の中で、大きな筋肉は下半身に集中しています。ですから、筋トレを始めるときはお尻や太ももから鍛えていくと効率的です。また、ふくらはぎの筋肉は第2の心臓と言われるくらいとても大事です。
ポイント
無酸素運動で筋肉量を増やしたら基礎代謝も高くなり、有酸素運動での脂肪燃焼量も増えます。軽い運動でも痩せやすい、太りにくい身体になっていきましょう。
◆ストレッチ
ポイント
ストレッチには自律神経を整える作用があります。自律神経が乱れると低体温の原因になり、低体温になると基礎代謝は下がってしまいます。
柔軟性が高いと筋肉や関節の可動域が広がり、同じ運動をしたとしてもカロリーの消費量が上がります。運動や筋トレを行う際には、必ずストレッチもセットで運動の前後に行うようにしましょう。朝日を浴びながらストレッチをすると、交感神経が優位になり、代謝が上がりやすくなります。お風呂上がりの身体が温まっている時にストレッチを習慣にすると、柔軟性が高まりやすくなります。
◆腹式呼吸
ポイント
腹式呼吸を行うことで、インナーマッスルが効果的に動くため、基礎代謝の向上が期待できます。
意識的に腹式呼吸をするだけでも効果がありますが、ヨガを行うのも、とても効果が高いです。ヨガは様々な体勢を維持しながら腹式呼吸を行うので、ストレッチや体幹の筋力アップにもなり、基礎代謝も上がりやすくなります。
◆水分をたくさんとる
ポイント
水分補給によって血行促進されるため、基礎代謝の向上が期待できます。
積極的に水分をとりましょう。冷えた水よりも温かい白湯などがおすすめです。温かい飲み物のほうが内臓の働きが活発になるからです。他にも、冷え性の改善・便秘解消・肌荒れ改善・肩凝り改善など、白湯には嬉しい効果がたくさんあります。
「まとめ」
まとめ
◎肌の細胞は約28日周期
◎肥満を防ぐには基礎代謝を高める
◎運動は20分以上
◎ふくらはぎの筋肉を鍛える
◎暖かい水分を摂取する
◎3か月試してみる
新陳代謝と基礎代謝の違いを理解できましたでしょうか。
新陳代謝とは、細胞1つ1つが古いものから新しいものに、次々と入れ替わること。
基礎代謝とは、心身ともに安静な状態な時に生命維持のために消費される必要最低限のエネルギー代謝量のこと。
似たような単語であっても、全然違うものでした。しかし、新陳代謝も基礎代謝も、加齢やホルモンバランスの乱れ、生活習慣の乱れで低下しやすいです。どちらも、健康や美しさを維持するためにとても大切なものですから、良い状態を保てるように、毎日の習慣を見直してまずは3ヶ月試してみましょう。